2000年代前半の邦楽個人レビューサイトの思い出

最初は昔聴いてた2000年前後の邦楽シンガーソングライターを延々と貼る記事を書こうとしてたんだけど、枕がやたら伸びたので分割しました。そろそろこういうことを自分なりに文字に残して整理しておいた方がいい気がした。

安達祐実のアルバムの記事の時にも書きましたが、僕は音楽趣味に関して、昔よく見かけた個人レビューサイトに非常に多くを負っています。高校生の頃は音楽に詳しいお兄さんさんたちのサイト隅から隅まで読んでツタヤとブックオフ通うのを繰り返していた。YouTubeはまだなかった。

たぶん僕のあたりが音楽雑誌が一定以上の存在感を持っていた最後の時代に立ち会った世代だと思う。それは同時にインターネットがオールドメディアの対抗になっていく時代でもあったことを意味している。要するにインターネット老人会のしっぽくらいにあたる世代ですね。アーカイブされている当時のサイトの更新日を確認しすると、最もよく見てたのは2005年前後らしい。

ちょっと前にインフォシークジオシティーズもサービスが終わってしまったので当然ほとんどのサイトが消滅している。しかし当時の相互リンク文化のおかげでInternet Archiveからアーカイブはだいぶ掘り起こせる。あと2chのログも漁ってみたけど使えそうなのはこのスレくらいしか見つけられなかった。多分他にも絶対あるはずなんだが2chの過去ログとかもう現代の魔宮と化してるので検索する手段がねえ…。

個々のサイト自体はリンクは辿ればいいんだけど、いい感じに一覧になってるページがないかなと探していると、某サイト管理人のはてなアンテナが見つかった。リンク先がはてな経由なので直リンクだと飛べず、URLいじる必要があるけど、ほぼアーカイブに残っている。

はてなアンテナ - TSUKASAのアンテナ - 音楽Internet Archive

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サイト名見てるだけでヨダレ出そうになってきた……。

一通り目も通しましたが……いやあ……牧歌的な時代だったな……。

前にも貼ったJ-POP CRAZY(アーカイブ)とかが代表的ですかね。この空気感はSNS時代にはなかなかないな。違いは色々あるけど今見ると「管理人と訪問客」という関係性が案外特異的な特徴だったように思える。

リストを順に見ていくと、まず名前を挙げねばならないのはこの後ナタリーを創業するミュージックマシーンアーカイブ)のタクヤさんでしょう。ボニーピンクのおっぱいとか書いてたの俺はまだ忘れてないよ。

アーカイブ見ても、個人運営としては頭2つ3つ抜けた情報量やセンス、サイトの完成度が見て取れる。この後ネットの商業化が進むことを考えるとナタリーになっていくのは必然的だったようにも思える。他に津田大介さんの音楽配信メモアーカイブ)の名前も見られる。

2020年現在も更新中のサイトで代表的なのはWASTE OF POPS 80s-90sさん(リンク)でしょうか。現在進行形で愛読しています。

また、ここには載ってないがよく見ていたMIXED BAGさん(アーカイブ)は、同じドメインのまま、サイト名を屋号にして大阪で古着屋をやっている。一度大阪行ったとき歩いてたら偶然見つけて感動した。

他には2chの邦楽板アルバム全曲レビュースレまとめサイトリンク)もまだ生きている。最終更新2016年で移転告知が出てるけど移転先が403なのでここで途切れそうかな。

そして個人的によく見てたゆういちの音楽研究所さん(リンク)もいまだに現役で更新されていた。いまだに週間チャートを毎週取り上げてたり、リトグリのようなアーティストを丁寧にレビューしていたり、KANのアーティスト本の感想書いてたりと完全に"あの頃"のままで感動した。

 

★★★ 

しかしこうして見るとこういう文化が成り立ってた期間って思ってた以上に短かったんだなと思う。アーカイブされている2005年時点で既にHTMLのホームページからブログへの移行が始まっている。この頃からWeb2.0が提唱されてネット空間がどんどん変わっていったイメージがある。mixiができたのも2004年らしいのでSNSへの移行期でもあるな。

まあでも今振り返るとさもありなんというか、素人が趣味でこんだけ複雑なことやっててもモチベ持たないよね。よくみんなこんな凝ったことやってたな。あと今は腕のある書き手はちゃんと対価のある仕事にしちゃうってのもありそうな気がする。

それと今はほんとにインターネット空間に人増えたんだなというのも感じる。このブログはいま累計数万アクセスくらいあるんだけど、00年代前半だったら一般人が運営してるサイトとしてはなかなかの数字にあたると思う。失われたものもあるけど多くの人に見てもらいやすくはなってるのも事実ではある。

サイトの長寿性に関してはジャンル的な傾向もあるみたいで、シンプルな洋楽ロックとかJ-POP扱ってたようなとこほど厳しい。プログレとかブラックミュージックみたいにハナからコアな音楽マニアがやってるようなサイトはいまだに結構生き残ってる。

それにしても最近よく思うんですが、電子媒体とかインターネットの情報の保存性って本当に弱いですね。10年ちょっとでダメになるって致命的であるよ(元々インターネットの設計思想がそういう風にできてないんだから当然なんだが)。同人誌作る人の気持ちがわかり始めた気がする。mixiも散々バカにされるけど、ニッチなカテゴリーの調べ物してるとあそこにしか存在しない情報って結構あるんですよ。音楽でいうとライブレポートとか。mixiは偉い。

そんなところで昔話でした。