安藤裕子『Barometz』

僕の音楽趣味において源流に近い位置を占めているところの安藤裕子さんの新譜が出ました。

昔はめちゃくちゃ聴いてました。柴田淳とかと一緒にこの世代は本当によく聴いてた。ディスコグラフィーで言うと『shabon songs』『chronicle.』の2枚が特に好きでした。当時住んでた街のタワーレコードで試聴して買ったことまで思い出せる。その後はほぼ追わなくなっちゃってたんですが、錦織圭がフェイバリットに挙げた頃からまたちょくちょく見かけるようになり、メジャー復帰の準備も進んでいたようだったので楽しみに待っていました。最後の最後にコロナで延期食らったけど。

そんな感じで新譜ですが、これが期待より遥かに良かったです。直近のアルバムはやや煮詰まってきた感があったんですが、今回は新しいことをやろうとしているエネルギーを感じる。フルアルバムとしては4年半ぶりみたいですが、うまく充電期間にできたのかな。

まず、アレンジャーが変わっています。初期からしばらくずっと共同制作だった山本隆二さんから今回はトオミヨウさんとShigekuniさん。トオミヨウは最近のaikoの仕事でも名前お見かけしますね。

そのaiko然りですが、こういうメジャーでやってるシンガーソングライターって共同制作者の存在がかなり大きいと思います。今回これがとても良い方向に出ていると思います。

全体として音数は少なめで、やや浮遊感のあるアプローチが中心的に取られています。歌とビートがやや前に出てる感じかな。以前からすこし翳のあるポップスを得意とする人でしたが、これが非常にマッチしていると思います。室内楽みたいな手触り。かと言ってミニマルになりすぎてもおらず、とても聴き心地が良い1枚です。

さて、そういうわけで久しぶりにねえやんの曲きちんと聴いてるんですが、改めて思うのはこの人の魅力は歌詞・曲・歌といった要素の統一感ですね。最終的にアウトプットされた形に必然性がある。昔はシンガーソングライターあえて名乗ってなかった気がするんですが、資質や作品の傾向としてはやはりシンガーソングライター的だと思います。あるいはまた、シンガーソングライター的なるものの魅力は表現を通じて人のパーソナルな世界に触れられることだなとも思う。

そして歌が良い。のうぜんかつらで出てきた頃は歌い方が誰々に似てるとかわりと言われてたと思うんですが、これは代えのいない声ですよ、やはり。

そんな感じで今後の充実した活動を予感させる1枚でした。