早見沙織『GARDEN』

全世界待望早見沙織さんの新譜が出ました。元から別格の音楽偏差値を誇っていた早見さんですが、いよいよ1つの完成形が見えてきた感があります。

今回は早見沙織本人による作詞・作曲の曲が中心になっています。前作『シスターシティーズ』はすべてを提供曲で固めていたので、2枚のミニアルバムで対になるコンセプトですね。『シスターシティーズ』は実験的な趣きもありましたが、今作は2ndフルアルバム『JUNCTION』を正統に継承した路線になっていると思います。

さて、個人的に関心を持っていたのはなんと言ってもマエストロ冨田恵一の参加です。前の記事で次は冨田恵一プロデュースがいいって書いてたので私信かと思った。ちなみに早見さんと冨田さんはガールフレンド(仮)のキャラソンで既に縁があります。

個人的にも早見沙織ソロは00年代R&Bシンガーやキリンジみたいな路線がいいよ~とずっと思ってたので相当期待高まってました。そういうわけで曲もメトロナイトのバージョンアップみたいな感じを想像してたんですが、 

うお~めっちゃ攻めてきた。何これは、プリンス?(この音色聴くと全部プリンスだと思う人)いやたぶんマーヴィン・ゲイとかがレファレンスなんでしょうが。正直もう猫も杓子もシティポップなのでそうそう驚かないつもりだったけど、さすがに声優のアルバムでこんな音ある?って思ってしまった。しかしいい曲です。このサウンドプロダクトに曲と歌が負けてない。

別格の歌唱力は言わずもがなとして、今回はやみんの作曲スキルが発揮されてるアルバムだと思います。というのもこれコンセプトとしてはシスターシティーズの対とされていますが、収録されてる曲はすべてアレンジャーが違うし、バリエーション自体は多いっちゃ多いんですよ。にも関わらず統一感や流れの良さは今まで随一です。

たぶんこれ、アーティスト活動も5年目となり、楽曲制作のプロセスにかなり手慣れてきたんじゃないかなという気がします。完全に推測ですが、歌詞書いて弾き語りでデモ音源作ってる時点で最終的にアウトプットされる曲のイメージがある程度できてるような気がする。少なくとももう役者の片手間の歌手活動ってレベルはとうに越えてますね。

★★★

さて、アルバム全体としては、意外にもというか明るいトーンです。マニアックな部分もあるけど基本は抜けが良くて気持ちいい(そういう意味では1stに近いかも)。大量のキャラソンを歌ってきた反動なのか、わりとパーソナルな世界を題材にすることが多いイメージのある人なんですが、今回はやっぱりというかコロナ情勢下での制作が反映されてるかな。個人的にちょっと目についたのは束縛からの解放、みたいな部分。

固まっていた体
太陽浴びて解きほぐして
私だけの庭で
歌おう 踊ろう ほら

「garden」

遠い空から光はそそぐ
きっと きっと きっと いつかは
指に触れるから

「glimmer」

とはいえシリアスなメッセージソングでもなく、もっと日常に寄り添ってくれる音楽ですね。それを狙って作れてるのが凄いと思うんだけど。やさしい希望のボサノバVer.でのセルフカバーにもそれが表れている。ていうか何気にボサノバ好きですよね、早見さん。ちょくちょくボサ要素入れてる気がする。

そんな感じで今月はしばらくずっと聴き続けます。ツアーあったらまた北海道来てください。